弘前大学出版会 「山田野」2014.10.14
                          弘前大学出版会 「山田野」2014.10.14
                                                                      2017.2.15
                            2017.2.15



                                                                                                                                                             2018.8.15
                      2018.8.15
                 2018.8.15
                 2018.8.15

青森県考古学会  稲 垣 森 太 氏上梓「旧陸軍山田野演習場の考古学的調査」から

「和開(長平)トーチカ」と「猿沢トーチカ」スライド

熊出没注意!!  長平、十腰内地区で2人大けが( 2017.5.17 )

『山田野』陸軍演習場・演習廠舎と跡地の100年

 青森県鯵ケ沢町の岩木山麓に、毎年五月になると一面菜の花のじゅうたんで埋め尽くされる場所がある。黄色く染め抜かれた大地の向こうには雄大な岩 木山の姿がみえる。日中友好四〇周年記念映画「明日に架ける愛」(二〇一二年公開)のロケ地にもなった場所で、観光客も多く訪れる。
 訪れた人々 に平和そのものといった印象を与えるこの土地は、かつて陸軍の山田野演習場として、数多くの兵士が駆け回った場所であった。演習場がその役割を喪失してか ら、間もなく七〇年という時間が経過しようとしている。それは演習場としての時間(約四〇年間)よりもはるかに長いものとなっている。
 JR五能 線の越水駅と鳴沢駅の間、水田やスイカ畑が広がる田園風景のなかに、細長い木造の建物がある。かつて兵舎として使用されていた建物が、一棟だけぽつんとた たずんでいる。ただ眺めているだけでは見過ごしてしまいそうだが、よくよく目を凝らしてみると、ただの「田園」には不似合いなコンクリート造の井戸が畑の まんなかにあったりする。この場所がかつては単なる「田園」ではなかったことに気づかされる。
 演習場跡に残る遺構や遺物は、現時点では文化財保 護制度上の史跡や文化財であるわけでもなく、そのために公的な保全措置が講じられているわけでもない。また文献資料等も演習場時代の陸軍公文書類を除けば 決して多いとはいえず、演習場の様子や、戦後の緊急開拓による開墾の実態なども当時を知る人々の記憶を通して知ることができるのみである。

      ( 弘前大学出版会『山田野』ー陸軍演習場・演習廠舎と跡地の100年ーから前文抜粋)